遺産・相続問題

法律相談の切り口と、そのメリット

相続には、法律に定められたルールが存在しています
何が遺産の対象になるのかと、相続人の範囲を整理しましょう
法的拘束力のある遺言は、遺産分割時のトラブルを防ぐ効果があります

遺言は、係争の芽を刈り取っておく最も効果的な手段です。あらかじめ決められたレールが敷いてあれば、遺族同士の身勝手な主張を抑えられるでしょう。ただし、相続の決まりを知らず、自分の希望だけを通そうとする遺言も問題です。専門家と相談しながら、ご希望が実現しやすくなる方法を考えていきましょう。

立場の違いによる注意点

遺産を受け取る側

相続が始まったら、最初に遺言の有無を確認しましょう。法的に有効な遺言なら、原則としてその内容に従う必要があります。一方、遺言がなければ、遺産分割協議を行い、相続人全員から同意の証として署名となつ印を集めます。その内容が適切なのかどうかわからない場合は、弁護士にご確認ください。

遺産分割協議で良く争点になるのは、「故人に対する世話や苦労などが、金額に反映されるのか」という問題です。これを「寄与分」といいます。裁判では、このような「気持ち」をすくい取ることが難しいため、わかりやすい「数字」に置き換える必要があるでしょう。必要な出費などがあったら、そのたびにレシートなどを保管しておいてください。

遺産を渡す側

要件を満たしていない遺言は、無効と見なされる場合があります。また、その内容を受け入れがたい遺族が、さまざまな疑義を挟むことも考えられるでしょう。「誰かにそそのかされて書いたのではないか」「もしかしたら、認知症だったのかもしれない」「見つからないように、遺言を破棄してしまおう」といった具合です。

このような結果に終わらないためにも、公証人が本人の意思能力を確認しながら作成する「公正証書遺言」を利用してみてはいかがでしょうか。別途費用がかかるものの保管を行ってもらえますので、「自筆証書遺言」に比べ、その実行性は格段に増すでしょう。

良くある質問

遺言を作成する際、知っておいたほうが良いことはありますか?

「遺留分」という仕組みにご注意ください。これは、法定相続人が受け取れる最低限の遺産割合を定めたものです。例えば、自宅を長男に譲りたい場合、次男の遺留分に相当する現金などを用意しておくとスムーズです。
また、「自筆証書遺言」の場合、裁判所による検認手続きが必要になります。偽造やその他の疑義を防ぐため、すべての法定相続人を法廷に集め、その前で初めて開封するのです。したがいまして、ご遺族などへ「みだりに封を開けない」よう注意をしておくと良いでしょう。

亡父が借金をのこしていたのですが、子どもである自分が返さないといけないのでしょうか?

原則としてはそうなります。ただし、「相続放棄」という手続きを取れば、プラスの財産も含めて一切の債務から開放されます。申立てには期限があり、「借金の事実を知ったときから3カ月以内」とされていますが、事情により期限の伸延ができます。
一方、借金を肩代わりするのであれば、弁護士が債権者と交渉することも可能です。葬儀やお仕事などで手が付けられないご依頼者に代わり、代理人として一切の処理を進めていきます。

遺産・相続問題に関する弁護士費用

相談を迷っている⽅へのメッセージ

「親戚の仲が良いから、もめ事なんて起きないはずだ」という過信が、一番のトラブル要因かもしれません。ご遺族に対し、今後の道しるべをのこしておくことも、遺産を譲る側の努めではないでしょうか。不平不満は、相続人周辺からの入れ知恵、経済状況の変化、ご家族の歴史など、さまざまな切り口から生じていきます。起こり得るケースを想定した、入念な対策を講じていきましょう。